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しじみ先生とフードコンシャスネス的こころ
第15回 地産地消と地育知産

ss ごきげんよう!「こころで食べる 味わい教育」を実践しているしじみ先生こと学習院女子大学の品川明です。
 さて、今回は食のもつ価値の中で重要な人と人とのつながりについてのお話。キーワードは地産地消と地育知産です。


地産地消で食料自給率アップ

 地産地消とは、地元で生産されたものを地元で消費するという意味です。しかし、地域で生産されたものを地域で消費するだけではなく、この活動を通して、農業生産者と消費者を結びつける取り組みでもあります。消費者は、地元であれば農家との距離も近く「このおいしい野菜は、何という農家の方が作っているのだろう」など、生産者との接触やコミュニケーションによる地域の活性化も視野に入れることができます。
 距離的に近いと輸送コストがかからず、とりたての新鮮なものを食べることができ、地元の農産物の商品力のアップにもつながります。
 子どもたちは農業や農産物に直接触れる機会が増え、農業や土や農産物への親近感を感じる教育を探検することができます。つまり、地元が教育現場になることを意味します。その結果、地場農産物の消費が拡大し、地元の農業を応援することにつながります。
 これらは農業者の営農意欲を向上させ、農地の荒廃も防ぐことが可能です。このように地元の農水産業を活性化させることは、日本の伝統的な食生活や食文化を守ることになります。結局、食料自給率を高めることにつながります。
 このような取り組みは、直販所での販売や学校給食での利用で成果を挙げています。


地と生き物と関わりに目を向ける

 農作物は種を蒔けば、必ず生長し実がつくというわけではありません。いくら種を蒔いても、太陽や空気や水が必要です。そして、何よりも活き活きとした土(地)が不可欠です。地がよければ、種はすくすくと生長し、自然と実がつくように思います。地にはいろいろな生き物が関与しています。その生き物とは、カビや酵母などの微生物であり、地には多くの生き物が関与した素晴らしい生態系があります。
 地育知産の地とは土や郷土や地元を意味します。まず、土地を育まなければ何も育たないという視点から地を育てる地育があります。
 次に、知産の意味について、知とは文字通り知恵や知識の知を意味します。この場合の知は、土を育む結果必然として気づく、太陽と地球との関わりや空気や水とのつながり、それらと植物との関わり、植物と虫とのつながり、さらには生き物と人や人と人とのつながりにも想いをはせることができる叡智(知)を意味します。
 この叡智が自然と産まれることが地育知産です。叡智や智慧という観点から考えると地育智産の方がよいのかもしれません。
 知とは、地(地球)を理解することであり、地から多くの気づきを自覚し、学んでほしいという願いも含まれているでしょう。地を育むことにより、人が必然として培われる、人間の教育の現場として地があるとも理解されます。

人も多くの命と関わることで存在できる

 さらに、地とは人を意味するとも理解できます。土も多くの生き物が関与し、多くの命がある土は素晴らしい活力ある土ということができます。地を育むためには、多くの命との関わりを無視できません。人も例外ではありません。多くの命と関わってこそ、生きることができる存在です。
 人の外側では地球規模の広さから多くの命との繋がりを感じ、人の内側でも腸内には人の細胞(60兆個)数以上の100兆個の微生物が生きています。まさしく、人はマクロでもミクロでも多くの命との繋がりがあって、はじめて育まれる存在なのです。


食を取り巻く、人間社会

 下の図は食を通した人と人とのつながり=教育的価値連鎖を示しています。

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 中央には学校があります。この学校で子どもたちに給食を提供します。学校給食で使用する食は、地元でとれる農産物です。子どもたちは、地元の食を通して、生産地や生産者に触れることができます。学校で食べた食は子どもたちを通じて、親に伝わり、その価値を知り、地元のスーパーや直販店で地元野菜などを購入します。
 行政もより多くの予算を使って、地元の産物を学校給食に提供し、地元企業も地場消費を支援する体制が整えば、食を通した人と人とのつながりが産まれます。地元を育てて、地元を愛する人を育てる。それによって、郷土の食文化が継承され、郷土の知が産まれると想います。
 「地元を意識する!地元を食べる!地元を育てる!」は「地球を意識する 地球を食べる 地球を育てる」でもあります。このような意識ある人が育まれるのも、素晴らしい土壌で培われた命(食)を食べることによってはじめて気づくのかもしれません。

 




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