食育に味わい教育を。食育の資格ならフードコンシャスネス研究所

 

しじみ先生とフードコンシャスネス的こころ
第17回 食を感じる力をはぐくむ 正解のない食育

shinagawa ごきげんよう!「こころで食べる 味わい教育」を実践しているしじみ先生こと学習院女子大学の品川明です。
 さて、今回はフードコンシャスネス教育の特徴を紹介したいと思います。


 今、私たちは本物の食を食べているでしょうか?
 食の画一化、利便性などの議論が活発ですが、本来の食を尊重し、将来に伝えるのチャンスは今しかないと思います。


 伝統的な食品、料理、質のよい食を守り食べる。質のよい旬の食を提供する。地域の生産者を育み敬う。環境に配慮した生産を志す。生活者に食や味わいの教育を進め、本物の食を提供する必要があると思います。本物の食に接するチャンスが多くあれば、自ずと味わう能力は磨かれます。今、私たちは本物の食を食べているでしょうか?

学校給食の活用を考える

 味わい教育は本来家庭教育の一つとされていました。しかし、今の日本をみるとそれぞれの家庭で食生活の質や意識には大きな差があります。将来を担う子どもたちの味わい教育を家庭だけに依存することはできない状況です。
 保育園や幼稚園、小学校には、給食というすばらしいチャンスがありまます。このチャンスを活用しない手はありません。給食で将来を担う子どもたちに食が本来持ち合わせた味を提供し、感じる力を育むことができます。郷土の生産者と連携し、郷土の生産物の旬の味や本来の味を体感することで、郷土愛や郷土の誇りを育てることが可能です。そのためには、学校給食を教育の場として今以上に活用する工夫が必要です。

子どもたちをインスパイアーする教育

 子どもたちをインスパイアーする教育とは、これまで食育という言葉はさまざまな視点で議論されかつ展開されています。しかし、それらの多くは食を栄養学的視点からアプローチしたものです。
 また、知らないことを教えるという概念提供型(知識・情報提供型食育)の教育が多いと思います。指導者には、概念を教える喜びよりも概念を引き出す喜びを優先する教育が求められています。子どもたちは幼いから知らないに決まっているという決めつけから、概念を提供するという教育は、子どもたちの学びたいという意志をもしかすると奪っている可能性があります。
 加えて、子どもたちは、いつも概念を与えられている現状にあります。概念を与えてもらうことが当たり前と考えています。これでよいのでしょうか。概念を自ら考え出すことができた喜びを味わう方が本質的な教育といえるのではないでしょうか。

五感力を発揮し、感じる力をはぐくむ

18_1
味わい教室!はじめのやくそく


 味わい教育(フードコンシャスネス教育)には多様な教育方法があり、一通りではありません。概念提供型(知識・情報提供型)はそれなりの価値があります。しかし、概念提供型の食育はこれまでの学校教育で行われている教え・詰め込み式の受動型食教育であると思います。
 本来、教育とはラテン語のエデュカーレ(Educare)に由来する言葉であり、その本質は概念を自ら引き出すことにあります(概念探求型教育)。食を教育という視点で位置づけるならば、その本質に即して、知識や情報を提供する食教育から、本来人間のもっている五感力を発揮し、感じる力(食を感じる教育)をはぐくみ、“食そのものを意識する食教育”への転換が必要です。

正解を求めない教育

 フードコンシャスネス教育(味わい教育)の特徴は次の通りです。
 1つ目は正解を求めない教育です。食の印象や嗜好性には正解はありません。食はどのように表現してもよい素晴らしい教育素材です。昨今の教育は、正解を求めるあまり、正解しか答えられない子ども達を増やしているように思います。素直に応えられる教育の場(環境)を提供するためにも食を通した味わい教育は有効です。
 2つ目は、食はミクロにもマクロにも広がるということです。食は命、生き物、細胞、栄養素など微細な世界へ広がります。一方、食は命、生き物、生息環境、地球環境などの大きな広がりもあります。広く深く奥行きのある存在が食なのです。
 3つ目は、食は感謝の対象です。食は日常の行為であり、忘れがちですが尊いものです。これは「食に対する有り難うの心」で紹介した4つのこころに通じます。
 4つ目は、食は本来生き物であり、地球に生まれた理由として、様々な役割を有します。食は生命であり、生命をつなげ、創るものです。食を生命ととらえ、人のために食があるのではなく、食(=生き物)の視点から見ることができる人でありたいと思います。これは「人と生き物の関係~ひふみよいむなやこと」の視点につながります。
 5つ目は、食(=生き物)の価値を尊重する購入意識や生産者や小売りの立場を想う購入意識を有し、節度ある消費行動を取ることができる。すなわち、自分のことだけでなく、周りのことも考慮できる市民性や社会性を育てる教育です。

五感、食材に意識してみる

18_2

よ~く、みて発見しよう!


 学校給食や家庭で簡単なことを試してみましょう。
 食事のとき:五感を使っていることをちょっと意識しましょう。どのような香りかな、どのような味かな、歯ごたえはどうかな。
 食事のとき:ひとつひとつの食材を意識しましょう。どこでとれたかな。誰が育てかな。どのようなつながりがあるかな。そのような特徴があるかな。
 食とは、心を満たす存在です。ゆっくりと大切に味わい、おいしいと感じたとき、心からの微笑みが私たちを幸せにしてくれます。


 次回は食や命の権利について、お話したいと思います。 それでは、ごきげんよう!




ページトップへ