食育に味わい教育を。食育の資格ならフードコンシャスネス研究所

 

しじみ先生とフードコンシャスネス的こころ
第16回 「食を教える教育」から「食を意識する教育」へ

shinagawa ごきげんよう!「こころで食べる 味わい教育」を実践しているしじみ先生こと学習院女子大学の品川明です。


 今回は改めて新しい食教育「フードコンシャスネス」について解説したいと思いますです。


 この満ち足りた時代において「食」は、あって当たり前の存在。自分が口にしているもの、その味わいに、無関心・無意識・無自覚な人が多くはないでしょうか。「食」が単に空腹を満たすための存在となり、味わうことが忘れ去られてはいませんか。食育の重要性が叫ばれているものの、多くは表層的な情報提供にとどまり、食の縁辺に隠されている様々な学びの機会や智慧や伝統に培われた奥深さを感じる機会の乏しさを感じます。


 口に運ぶ食物が、どこで生まれ育ち、どのようなつながりから給食や食卓に上がって来たのか。なぜそのような色や形を呈し、どうしてそのようなにおいを発するのか。


 さらには観て聴いて触れて嗅いで食べた時に体は何を感じたのか。「食」に対するあらゆる意識や感覚を目覚めさせる機会の提供こそ、これからの食教育の本質だと思います。


♪「食を教える教育」から「食を意識する教育」へ

 これまでの「食を教える教育」から「食を意識する教育」へ変革していくためには、まず「食を感じる教育」が必要です。食に対する感謝の念や自然観、味わいや香りに対する五感を耕しながら、生きる力、考える力、文化や未来を想像する力を育成することを目標にしています。見失われつつある日本人の感性を見つめ直し、「食は命なり、食は社会なり、食は地球なり」を意識できる人間を育てることを使命としています。
 食のグローバル化が進み、食は猛烈な速さで流通しています。その結果、地域に結びついた食生活のパターンは崩れつつあります。食の調達の場が変化し、地元の八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんは姿を消し、多くの食品が季節や生産地に関係なく入手できる時代です。
 あわただしく食べる機会が増えたことで、じっくり味わう余裕がなくなり、徐々に五感力が減退しているように感じます。自分たちが生活している郷土や季節とのつながりと同時に、食べるという行為の意味、その身体的、文化的意義も、失う危機に瀕しているように想えます。


♪食を意識する~フードコンシャスネスとは


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図 フードコンシャスネスのロゴマーク


 このフードコンシャスネスのロゴは食を通したつなががりを意味しております。いろいろなつながりを想像し、創造してみて下さい。生産者・流通業者・生活者のつながりであったり、生き物と人のつながりであったり、自然や環境と生き物や太陽や地球、大地と水のつながりなど、さまざまなつながりを連想できるでしょうか?
 食べること、食べるもの、食べ方から考え、育てる、知の未来。
 食べること、それは人類をはじめ動物共通の営みであり、生命維持の基本です。食べるもの、それはそれ自身が生命であり、また生命を支えつなげる大切なものです。食べ方、その側面には現代社会が抱える様々な問題が顕在しています。次世代のために、我々は何ができるのでしょうか。
 食の知識や情報を提供する食教育とともに、食そのものや食周辺の見えない部分を意識する食教育を重要視する必要があると思います。そのためには、五感を呼び起こし、感性を研ぎ澄まし、わき起こる想いを確かめることが大切です。
 スーパーに並ぶ野菜一つとっても、我々が意識するのは表層に見えるわずかな部分ではないでしょうか。その野菜が生まれ育った背景には里山や里海があり、大地や水や空気があります。丹精込めて育てた人々、我々に提供するために奔走した人々がいます。
 給食や食卓に上がるまでには、手間をかけて味わいを加えた人々がいることも忘れてはいけません。食は、あって当たり前なものではなく、食の存在は奇跡で稀であり、食は命であり、つながりであり、恵です。
 「味わう」とは五感や心で感じることであり、地球上の多くのつながりがあってこそのものと意識してほしい。「フードコンシャスネス(きちんと食を意識する)」の基軸はそこにあります。

♪フードコンシャスネスで考える教育

 人間の五感を通じてその感性や能力を積極的に引き出す人間力(五感/社会性意識)復活型教育です。人が自然に身につけていた能力を呼び起こし、心で味わう姿勢や態度を養う。食の持つ価値や背景を理解し、食を自律的に選択する力、さらには自分で思考する生きる力、人生を豊かに味わう力、文化や未来を創造する力を培うことができます。
 このような意識ある子どもや大人を育てることが大切です。とりわけ、未来の可能性が満ちあふれている子どもたちを直接教育できる大人は教員であり、親です。
 また、常に「食(命)」と接している農・水・畜産業の生産者、それらを消費地に運ぶ流通業者、それらを販売する小売業者、食に保存性や嗜好性を付与する加工業者、それらを日々食し、その恩恵を受けているすべての人ではないでしょうか。
 その基本に感性を大切にする教育、心を育む教育、感覚を研ぎ澄まし、嗅覚や味覚を鍛える教育=味わい教育(フードコンシャスネス教育)と位置づけています。

 

 




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