食育に味わい教育を。食育の資格ならフードコンシャスネス研究所

 

しじみ先生とフードコンシャスネス的こころ
第14回 人と生き物の関係 〜ひふみよいむやなこと

ss ごきげんよう!「こころで食べる 味わい教育」を実践しているしじみ先生こと学習院女子大学の品川明です。

 さて、今回は人と生き物などの関係を考えてみましょう。この考えは日本人や東洋人が持っている素晴らしい哲学だと思います。

 食はもともと、すべて生き物。稀な存在であり、命であり、繋がりであり、恵です。地球上のすべての生き物が、太陽や空気、水や大地、地球そのものの成り立ちとも繋がる存在です。

 食が本来持っている、見えない価値や本質を如何に子どもや大人に気づいてもらうか。これが食を意識する教育の本質です。

 

♪日本神話に由来する数え言葉

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図1「ひふみよいむなやこと」と生態系ピラミット

 

 その根本の一つに「ひふみよいむなやこと」があります。これは、日本の神話で天照大神(アマテラスオオミカミ)が岩戸に隠れて暗闇になったとき、天鈿女命(アメノウズメ)が岩戸の前で舞を踊ったときに詠まれた歌に由来した数え言葉です。

 図1は地球上の生き物が生きるために必要なもの、大切な物の順番です。地球上に誕生した順番を表しています。38億年の生物の歴史を表しているともいえます。

 生態系ピラミットの頂点にひとがいる。しかし、ヒトが頂点にたっているのではなく、ヒトはいろいろなものから支えられているという概念が大切です。また、ピラミッド自体が地球を示してもいます。

♪地球はまるで生き物

 「ひふみよいむなやこと」の意味を考えてみましょう。周りは地球を照らし、生命の源である「ひ:お日さま=太陽」が輝き、地球上には生命から造られた「ふ:風(ふう)=空気」や「み:(みず)=水」や「よ:世(よ)の中を支える大地や土壌=土」があります。

 これらの4つは生物ではありません。この4つのうち、太陽以外は地球上に存在しているものです。空気も水も土も生き物がいない環境では創ることができない存在です。

 また、神秘的なのはいつも酸素と窒素の割合が一定であり、その恒常性は地球があたかもそれ自体が生き物であるようにさえ感じる「ガイア理論」ものです。

♪すべての関わりの中で生かされている

 5番目からは生き物です。「い」は日本の食文化に欠かせない稲(いね)を意味しています。デンプンや酸素を造る植物やいろいろなものを分解する菌類が生き物の最初の支えとして存在します。

 この「い」は緑の葉の中に、太陽の光と空気中の二酸化炭素を吸収し、根から水を吸い上げ、土から養分を吸い上げ、人間などの動物には合成することができないデンプン(=炭水化物:二酸化炭素の炭、水からできる化合物)を創る素晴らしい生き物です。

 その植物を食べる「む:(むし)=虫」たち、植物や虫を食べる「な:さかな=魚」たち、植物や虫や魚を食べる「や:矢(や)のように飛ぶとり=鳥」たち、植物や虫や魚や鳥を食べる「こ:べこ(牛などの獣)=動物」たち、最後は「と:ひと」を意味します。

 人やすべての生き物はそれらすべての関わりの中で活かされていることを自覚してほしいと思うのです。

♪感謝する対象がもっとも多いのが日本人

 「ひふみよいむなやこと」は生き物と非生物との関係や生態系ピラミットを表現している素晴らしい数え言葉だと思いませんか。古来、日本人は自然物すべて、生きとし生けるものすべてがつながり、大切なものという教えを大切にしてきたのです。

 生き物はいるべきところにいて、欲するものを獲得できるように配置されています。生き物の形や色も自然の摂理にかなうものです。人は感謝すべき対象が一番多い存在、すべてのもののお陰で、活かされている存在です。これは東洋的な思想でもあります。

♪頂点に立つのか、土台を支えられているか

 食を意識する講演の中で「ひふみよいむなやこと」の話をしたとき、ひとが一番大切でないということはどういうことか?と質問されたことがあります。

 私の応えは以下です。

 頂点に立つという視点と土台や支えられているという視点の違いをどのように認識するかで、ものの見方が違ってくるのではないでしょうか?いろいろな視点をぜひ感じてほしい。

 食べ物を食べるとき、この「ひふみよいむなやこと」の視点で太陽と空気と水と土と生き物とのつながり、生き物同士のつながり、生き物と人とのつながりに想いを馳せることもおいしさを広げる一つなのかも知れません。




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