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「江口泰広名誉教授の戦“楽”的マーケティング発想」 9
~気楽にビジネス・チャンスをつかむ法~

eguchi02<解決策と解決力>


 以前戦うべき相手=ライバルについてお話をしたことがありますが、ライバルは2つに大別することができます。一つは時代や市場、人々・顧客という外的環境与件であり、他の一つはマイセルフ(わが社自身)という内的与件です。
 ビジネスとは全て問題解決行動ですが、解決という言葉には“解決策”と“解決力”という2つの意味があります。
 解決策を得るためには、時代や市場、人々・顧客という外的環境与件を認識・把握することが大切です。つまり「解決策は外にあり」です。
 しかしいかにライバルを認識できても、それに積極果敢に適応できる体質・体力がなければ解決はおぼつきません。つまり「解決力は内にあり」です。
 解決策と解決力を具体的な戦略行動に結びつけた戦略行動の一つにリエンジニアリングがあります。
 1970年代後半から80年代に、米国の企業が低迷する市場と激しい競争の中で、復活の手掛かりとしたのが企業革新(変革)力の源泉となったリエンジニアリング-企業体質再構築-でした。
 リエンジニアリングの本質はひと言でいえば、顧客に生かされるために、顧客の視点で業務の全てを見直すということです。
 つまり受付から営業、経理、総務、工場、倉庫、配送、コールセンター等々の全てが顧客満足に結びついていることを証明することです。そのためリエンジニアリングはBPR(Business Process Reengineering)と呼ばれています。
 これは表現を代えれば、全ての業務活動に関して、「それはお客様のためになりますか」という質問に明確に答えることです。
 お客様のためにというのはつまり顧客満足のことですが、リエンジニアリングを著したハマーとチャンピーさんはそれを「スピード・アップ、サービス・アップ、クオリティ(品質)アップそしてコスト・ダウン(低価格化)」の4つと定義してします。
 そしてリエンジニアリングは、ITを高度に駆使して、この4つの視点を全社を上げて一気呵成に向上させることを通じて、顧客に生かされる企業体質の再構築を目的としました。
 わが国ではリエンジニアリングはコスト削減の一手法として主に管理的視点で理解されてしまったために、その本質であるマーケティング戦略的側面が理解されなかったことは残念なことです。
 米国では特に生産性が低くまた管理しにくい、人を介するサービス領域にリエンジニアリングの視点を活用して、効果と効率アップ(つまり生産性アップ)を果たしていま。(サービス・リエンジニアリングという言葉で表現されることもあります。)
 リエンジニアリングを通じて変身することができた米国企業の多くは、同時にそれを通じていくつかの重要な戦略視点を発見しました。
 それの第1は、ライバルは同業他社よりも顧客であるという視点です。
 第2は、顧客満足は一部門では実現できず、全社的なネットワーク(総合力)が必要で、それは企業戦略そのものであるという点です。
 そして第3は、戦うべき相手であるライバルは顧客であるが、それは戦くべき対象ではなく味方にするものなのである、という戦略視点。(これに関しては別の時にお話しします。)
この視点は米国企業に主に2つの戦略行動の重要性を認識させました。
その一つは最大のライバルである顧客とのコミュニケーションの質の重要性です。
他の一つは多様な価値感と知識をもつ顧客の“顧客知”を、企業の一連の価値創造のプロセスに組み込むことによって、顧客に生かされることが必要だという戦略視点を得たことです。
 ひと言でいえば、成長するためには市場や顧客に生かされる、徹底したマーケティング・カンパニーでなければならないという認識が“改めて”芽生えたということです。
 顧客とのコミュニケーションの質を高め、顧客に生かされることが重要だという視点は、CRM(Customer Relationship Management)、ワン・ツー・ワン・マーケティングなどの戦略視点をもたらしましたし、近年では「競争は共創だ」という概念の基盤にもなりました。
いつの時代も、企業は顧客というライバルを味方とし、かつ顧客を自社の戦略活動に組み込めた時に、新たな競争力のエンジンに火が点されます。
 読者(企業)の、顧客という名のライバルを味方にする戦略やいかに?!

 




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