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「江口泰広名誉教授の戦“楽”的マーケティング発想」 7
~気楽にビジネス・チャンスをつかむ法~

<煩わしさと問題発見力>

 

eguchi02 東京都心とその周辺で、よく「玉子屋」と書いた黄色いライトバンが見受けます。これは仕出し弁当で成長を遂げている昼食宅配業の「玉子屋」の宅配車です。 

 同社は1日に昼だけで6~70000食(一食450円)も配達する弁当屋で、その主要顧客はオフィスで働くビジネス・パーソンとOLです。

 同社はコンビニエンス・ストアをはじめとする競争の激しい弁当市場で、食域(職場、オフィス)市場をターゲットとして急成長を遂げています。

 弁当ビジネスは古い歴史をもつ事業領域ですが、もともと仕出し屋であった同社は時代や市場の変化を確りと認識し、戦い方を変えました。

 同社は受注から配送まで2~3時間と迅速な“適応”(対応と適応とは異なります)行動をとり、伝統的な弁当ビジネスを精度の高い“革新的システム産業”に転換して成長産業となっています。(廃棄率は何と0.1%とのこと)

 それではあまた存在する弁当屋の中で、玉子屋の売り物は何でしょうか。

 もちろん弁当もあるでしょうが、それ以上に顧客が評価する要素は、数時間前に注文した弁当をJIT(ジャスト・イン・タイム)で個別企業(職場)に届けてくれるという、“煩わしさの解消”です。

 つまり顧客が購入しているのは、昼時の混雑する時間にいちいち弁当を買いに行かなくてすむし(届けてくれる)、メニューも考えなくていいし(日替わりメニュー)、それに食べ終わると器を回収しに来てくれるという、まさに問題解決(ソリューション)なのです。

 ということは、同社はたまたま弁当を扱ってはいますが、その本質は高度な技術を駆使した個別適応型サービス(問題解決)業なのです。

 同社の成長要因は、“どのような顧客のどのような満足を実現するか”、というターゲットを明確した顧客満足実現のためのマーケティング視点をもったことにあるでしょう。

 自分の企業は本質的に何を売っているのだろうかという問題意識をもった瞬間、自分を取り囲むあらゆる環境与件は全て問題とその解決のための宝庫となります。

 いまビジネス・パーソンに求められているのは解決力もさることながら、それ以上に“問題発見力”です。

 (フードコンシャスネスでは食と対峙して自らの五感をフル活用した“気づき”を重視していますが、その基本的視点は、ビジネスでは食が市場・顧客という言葉に変わっただけです。)

 低迷企業(ダメ企業)の共通点のひとつは、自社の問題点が正確に把握・理解できていないことにあります。

 問題が正確にわからなければ正解(解決策)はありません。(正しい問題設定が正しい答えをもたらします。)

 玉子屋と読者とは仕事が異なっているかも知れません。

 しかしあらゆるビジネスが“サービス生産・提供業(ソリューション・ビジネス=問題解決業)”という視点で見れば、多くの学ぶべき点があります。

 もう一つ玉子屋から学ぶべき点があります。それは通常仕出し屋は顧客の注文を待って、それに対応する“待ちのビジネス”です。

 しかし同社は顧客からの注文を単に待つのではなく、情報技術を駆使して注文が取りやすい仕組み―積極的受注型ビジネス・モデルーを作ることで成長しました。

 “他業界の常識は当業界の常識となる”という言葉がある通り、ある業界で評価されたことは必ず他の業界に影響を与えます。(職域という市場の意味を認識したネスレは、オフィスで新たなビジネス・モデルをスタートさせて急成長を遂げています。)

 変化に強いビジネス・パーソンになるためには、常に問題意識を広くもった勉強家でなければなりません。

 なぜならいつの時代でも、努力という名の友と知識という名の杖を携えたものだけが、成長(成功)という名の山頂に辿り着くことができるからです。

 さて、読者の山頂に辿り着くための友と杖やいかに?!

 




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