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「江口泰広名誉教授の戦“楽”的マーケティング発想」 ②
~気楽にビジネス・チャンスをつかむ法~

 


eguchi02 前回は“認識は戦略行動の原点である”(江口泰語録)ということで、認識の大切さと同時に競争社会ではライバルが5つあることを指摘しました。

 そして最後にチェックすればよい第5番目のライバル(よく見えるライバル)が“同業他社”であることをお話ししました。 

では1~4番目までのライバルとはなんでしょうか?

  まず、第1番目のライバルは「見えるようでいて見えない、見えないようでいて見えるライバル」です。そう、時代や市場という名のライバルです。

 時代や市場は常に変化するという言葉をよく聞きますが、変化とはなんでしょうか? 変化とは常識やルールが変わることです。

  時間軸を通じて事象を見ていくと、時代や市場の変わりよう(変化)がよくわかります。

 例えば、いまはスマホがコミュニケーションの道具となり、世界中どこに行っても家族や友人あるいは仕事先と連絡が取れますが、これはごく最近のことです。

 いまの若者はコトバで話すよりもスマホで話します。口で話すのではなく、指で話します。文字ではなく、絵文字やアイコンで話します。(これでは、味わいの表現力が乏しいのがよく理解できますね。失礼。)

 ファミレス(ファミリー・レストラン)という和製英語があります(本来はコーヒーショップという業態)。すかいらーくやロイヤルが郊外に住むニューファミリー(核家族世代を意味します)を対象に、新たなライフスタイル創造を通じて急成長を遂げました。

  あれから40年!(どこかで聞いた言葉ですな)あの家族の笑顔で包まれたファミレスにはもはやファミリーは来ません。来店するのは時間はあるがお金のないシニアと若者が中心です。

 現在ではホントにファミレスになりました。ファミリーがいない(レス)業態となっています。ファミレスという言葉の意味も変化しました。

  マクドナルドが銀座に始めて出店したのは1970年代初めですが(それも銀座という日本の商業の本丸、それも当時の一等地である銀座四丁目の三越の角)、アメリカでは日本の立ち食いソバと同じような業態が、ハンバーガー・立ち食い=ニューファッションという形で時代を作りました。

  ファーストフードが新たな食の常識をつくりました。(このファーストフードという言葉も、近年のGAP、H&MやZARA等のファストファッションと呼ばれる業態の台頭で、ファストフードという言葉になりました。ファッション・ビジネスはIT(情報技術)を基盤にしたSCS(サプライチェーン・システム)によって、製品開発から販売までの一大革命=ビジネスのルール・常識の変化=が起こりました。)

 あえてかなり“昔”の話をしましたが、まさに常識やルールが変わっています。

 変化は食や電話だけではありません。われわれの生活領域すべてで起こっています。

 食に興味のある方々が読者だと思いますので、もう一つ食の事例をご紹介しましょう。

 いまは夏の真っ盛り。ビールがことのほかおいしい季節です。

 ビヤホールに行きましたか? ここしばらくデパートやビルの屋上のビヤホールはあまりはやらないですね。もっと涼しく快適な居酒屋やレストランに行ってしまいますからね。これも変化(ビールを飲む場所、空間、時間、状況等)の一例です。

 ところで、普通ビールは暑くなった夏に消費量が多いのですが、いつの間にか冬にもビールを飲む人々が増えました。

 これはビールがおいしくなったからでしょうか? 種類が増えたからでしょうか?

ビール業界の努力(新製品開発)の結果でしょうか?

 もちろんそれも一因でしょう。しかしいくらおいしいビールがあるからと言って、冬に積極的にのみますか?(ビールのお燗はないですよね。とは言っても温めて飲むビールもあります、海外には。)

 それはともあれ、もっと大きな理由があります。なんでしょう?。。。。。。。。。

 確り考えてくださいね。「わかりませ~ン」は思考放棄ですからね。

(いま多くの人々がこの傾向を持っています。だから食を通じて五感を積極的に使って感じ・考えるフードコンシャスネス行動が必要なのです。失礼!ここで宣伝してもなにもなりません。)

 さて、ビールが欲しくなるのは喉が渇くからです。喉が渇くのは汗を沢山かくか、湿度が低い乾燥している状況です。運動している人以外、冬は寒いので汗はほとんどかく状況にはありませんので、ビールが必要になる状況にはなさそうです。

 しかしビールの冬の需要は大きく伸び、ビールは季節商品から通年商品に変化しました。

なぜか?! 

 そう、居住環境が大きく変化したからです。広さは別にして、気密性が高く、暖房効果の高い快適な居住空間が住宅産業の努力で実現しました。冬にTシャツで過ごす人も少なくありません。日本の冬はもともと湿度が低いので、加湿器を使う家庭が急速に増えました。(昔は湿度の高い日本で、加湿器など考えたこともありませんでした。)

 

 ビールを飲む環境が整いました。

 ビールを飲む環境・状況を創り出したのは、ビール会社でしょうかあるいは住宅会社でしょうか。

 江口さんは何が言いたいのか。そう、変化は様々な要因で起こる、ということを申し上げたいのでございます。

 換言すれば、食あるいは食の世界ばかりを見ていても、変化は“観えない”ということです。

 もちろんすでに起こった(過去の結果)現象はそこそこ“見える”でしょう。しかし現象を見ただけでは、その本質はなかなか観えないのです。

 

 “ビジネスは常に未来との対話です”。(江口泰広語録)いま目の前に起こっていることに気づいても、すでに他の多くの人々が気づいているので、「It’s too late!」(もう遅い)です。

 It’s too late!は何を意味するか。他の人も気づいているので、類似化の真っ只中に飲み込まれるということです。(しかし、いまの変化にすら気づいていない人も沢山いますのでご安心を。)

 著者が“問題意識の数が解決の数”(江口泰広語録)、つまり広い意識と視野を持つことが必要と言っているのはこのためです。

 先に変化とは常識やルールが変わることであると指摘しましたが、もう一つ“変化は進化”(江口泰広語録)であることを認識しておきましょう。

 お勉強熱心な読者は機能性食品という言葉や野菜のチカラ(機能性野菜)という言葉をご存じだと思います。

 そこで質問です。

 キャベツ、キウイ、ニンニク、パプリカ、レタス、ニンジン、ホウレンソウの中で一番抗酸化力の高い野菜はどれでしょうか?

 ごく単純に、抗酸化力が高いということは、老化の最大原因のひとつである活性酸素を抑え、長生きできる(健康寿命)ということです。肌も若々しく維持できるということです。(顔や体の構造は変えられませんが)

 そうです。高酸化力のある野菜はDPPH法の分析結果、パプリカがダントツのナンバー1です。この中で最低はニンジンです。

 ではパプリカの中で、赤、橙、黄の色別にみて、一番抗酸化力のあるのはどれでしょうか? 赤、橙、黄の順で、赤が一番抗酸化力のある野菜です。(ちなみに著者はほぼ毎日赤のパプリカを食べています。だから若いと言われるのかな?!)

 野菜のチカラ(機能性野菜)の視点はこれから大きな意味を持つことでしょう。野菜の大きさ、重さ、形もさることながら、機能を重視する消費者が沢山出てくることでしょう。JAの大きさ、重さ、形だけでは野菜を買わない人が沢山増えることでしょう。なぜならこれは大量消費時代の基準(ルール・常識)だからです。

 今は量より質の時代です。もちろん子育て世代には量が優先するでしょうが、野菜の評価基準、売り方が大きく変化する動き(新しいルール・常識)が出てきています。

 第1のライバルである時代や市場の話は範囲が広いため、いくら時間があっても語りつくせません。企業研修の時には(著者は企業のコンサル、幹部研修等の仕事が大変多いです)第1のライバルの話にできるだけ時間をかけます。

 なぜなら、時代や市場の認識の仕方によって、企業の戦略行動が決まってくるからです。

 つまりその中に、ビジネス・チャンスや脅威が沢山あるからです。

 読者諸氏も、第1のライバル分析に勉強時間を使ってください。

 さて、いまご自身の周りを見て、その中に今後の変化を促すものがあるかどうか確認してください。変化(進化)は日常の中から起こるものです。

 否、読者諸氏が変化(進化)を起こす起爆剤(推進役)になってください。(しかし、くれぐれも自爆しないように!)

 

 次回は第2番目のライバルについてお話しましょう。(そうなんです。ライバルが沢山いて大変なんです。)




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