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「江口泰広名誉教授の戦“楽”的マーケティング発想」 15
~気楽にビジネス・チャンスをつかむ法~

eguchi02<価値とカテゴリー>

 米はこれまで南魚沼コシヒカリや東和町ササニシキといったように、その種類と生産地を基盤にしたブランド戦略による競争が展開されてきました。
この競争戦略の焦点は主に味でしたが、しかし現在はさらに多様な競争が展開されています。 

 
 例えばその一つに無洗米があります。
 周知のように、とぐ手間を省き、短時間で炊き上げられ、とぎ水が出ないので環境に優しい米です。
無洗米には沢山のよい点がありますが、それがうまく伝えられていないため、米全体市場に占める割合はまだわずかです。
 発芽玄米も、発芽によって栄養価が高まり、美容・健康によいという理由で少しずつ市場を拡大しています。
 さらに冷凍米飯。例えば1999年に発売された「カゴメデリ」シリーズは、無菌加工包装のごはんとレトルトの具材が一緒になった「無菌セット米飯」として発売された加工米飯のレンジ食品です。
 同シリーズは栄養が偏りがちな20~30台の女性の食生活を考慮して開発された製品で、まぜご飯、リゾット、スープご飯等々、いずれも低カロリーで、豊富な野菜、無添加、調理時間はレンジで2~3分、食器も調理道具も無用という製品です。
 米はもはや空腹を満たす基礎食品(主食)から、栄養・美容食品あるいは嗜好食品さらには環境指向食品へと、その位置づけを変化させています。
 米という一見産地ブランドでしか差別化できないと思われがちであった超定番製品も、新たな視点による新たなカテゴリー開発によって成長商品への仲間入りが果たせるのです。
 各業界で長きにわたって競争優位を確保している企業や製品の多くも、新たなカテゴリー開発を行ってその地位を築いています。
 ハンバーガーショップがあまたある中で、科学的管理システムを導入することによって一介の街のハンバーガー屋をフードサービス“産業”にしたマクドナルド、運輸・輸送業界で24時間配送を可能にし、今日の宅配便というビジネス・モデルを構築したヤマト運輸。
 日本においてファスト・ファッションの先鞭をつけたユニクロ、「進研ゼミ」など個別適応型教育システムで成長したベネッセ等々事例をあげれば枚挙にいとまがありません。
 これらの企業は、それまでにあったビジネスに新たな視点と売り方を通じて、新たなビジネス・カテゴリーを開発した企業です。
 新たなビジネス・カテゴリーの開発はすなわち新規市場の開発を意味します。
 同じ業界・業種にあっても、“どのような顧客のどのような満足”を実現するかによって業容や業態を変えることができ、それが新たなカテゴリーをもたらします。
 これは何を売るかというモノ中心型の業種の発想から、どのように売るかという業態発想の重要性を意味しています。
 同じ商品を扱っていても、どのような顧客の、どのような満足を実現するかによって、戦い方や売り方=ビジネス・モデルは変わるのです。
 スターバックスは本物志向、タバコの匂いのしないゆとりのある空間を求める顧客に対して、ドトールは時間のない、低価格志向の人を対象にしてビジネスを展開していますが、ともに同じコーヒーショップです。
 ちなみにスターバックスの売り物は何でしょうか?
 スターバックスの売り物は空間です。家庭でもない、職場でもない第3の場所“The Third Place”を売り物にしています。
 スターバックスが繁盛しているところをみると、家庭でもあるいは職場でもゆっくりできない人々が世の中には沢山いるのでしょう。
 それはともあれ、読者はどのような顧客のどのような満足を得るために、どのような商品やサービスを、どのような業態発想で提供しているのでしょうか?!




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