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「江口泰広名誉教授の戦“楽”的マーケティング発想」 11
~気楽にビジネス・チャンスをつかむ法~

eguchi02<コミュニケーションの質>
 新入社員として企業に入って2ヶ月が経とうとしています。みな未来に希望を託し、素敵に瞳を輝かせています。この若葉の初々しさにも勝るとも劣らない新鮮さは、紆余曲折を経て長い社会人人生を送ってきた著者のようなものには誠にまぶしい光景です。
 さて、新入社員との時間を重ねていく中で、「最近の若者は宇宙から来た異星人のようだ」といっている企業のトップにお目にかかることも少なくありません。
 これは“日本語が通じてもコミュニケーションが取れない”ということだと思います。
 コミュニケーションが上手く取れないということは年齢格差のある人との間に起こる問題だけではなく、同じような年代層でもよく起こることです。
 コミュニケーションの質は企業経営やマーケティングをふくめて、多様な領域で極めて重要な課題であるため、いろいろな学会で調査・研究がなされ、それらをまとめた沢山の論文があります。


 今回はその中で興味深い論文がありますのでご紹介します。
 研究者がカップル34組を対象にして、実験をしました。その結果を3つのパターンに分けました。
 ここで読者に質問です。


 以下の3つのパターンの中で、もっともコミュニケーションの“質の低い”のはどれでしょうか?
  ➀共同作業の時に、会話をすることも、互いの顔を見ることもできるカップル
  ②会話はできるが、互いの顔を見ることができないカップル
  ③会話はできないが、互いの顔を見ながら書面の交換によって意思疎通ができるカップル

 

 さて結果は?
 最もコミュニケーションのパフォーマンスが低かったのは、②の「会話はできるが、互いの顔を見ることができないカップル」でした。
 正解された読者はおられますか?(正解しても何も出ませんが)
 意外なことに、①と③のパフォーマンスの差はほとんどないそうです。 
 さて、この実験結果は何を意味しているでしょうか。
 そうです。お互いの顔さえ見えれば、口で話そうが、文書交換だろうが、コミュニケーション・パフォーマンスの成果に大差はない、ということです。
 これは日本で昔からいわれている諺の「目は口ほどにものをいう」ということと関連がありそうです。
 この実験結果はわれわれにいくつかの重要な示唆を与えてくれています。
 その一つはインターネット社会の進展によって、コミュニケーションの多くの場面を便利なSNSやFacebookやLine等々に依存しているわれわれにとって、コミュニケーションの質を高めるためにはFace to Faceによるアイコンタクトや表情、身振り手振りも含めた言語を超えたコミュニケーションのあり方の再確認です。
 実はこの論文が実証したことは、「直接対話によるコミュニケーションの頻度が高い組織ほどトランザクティブ・メモリー(組織の記憶力)が高い」ということです。
 こうした実験や研究成果を実務に活かして、社員のインフォーマルな直接会話を促す場を増やすことを積極的に進めている企業が、米国で多数輩出しています。
たとえばその傾向が顕著なのは、先端的技術開発を進める企業や革新的企業が数多く集積しているシリコンバレーです。
 具体的にどのようなことをしているかといえば、オフィスの真ん中にコーヒーショップや休憩室、あるいはスポーツジムを設置したり、誰もがひと目で社内を見渡せる平場のオフィス環境を整備したりしています。
 個室と秘書をもつことがビジネスパーソンのステータスや憧れといわれてきた“神話”が崩壊しつつあります。
 いずれにせよ、コミュニケーションの質を高めるためには、スマホを使って“指でしゃべる”「指主導型コミュニケーション」と、目と目を合わせる「直接対話型コミュニケーション」の適切な使い分けを認識しておく必要があるようです。


 翻って、食育におけるコミュニケーションの質を考えてみると、教えることばかりをしている一方通行型の一般的食育インストラクターと、相手の人間力や感性能力を最大限引き出そうと“つぶらな瞳”を有効活用しているわがフードコンシャスネスのファシリテーターとの違いともいえるかもしれません。


 ところで、読者のコミュニケーションの質やいかに?!

 




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